ヴィオラ演奏分析
「ヴィオラ~ピアノ合奏分析」1
「ヴィオラ~ピアノ合奏分析」1
Mさんのソロから始まる合奏は、やがて静かな雫の落ちる
ようなピアノの伴奏が絡んできます。
この合奏は、全てが何の打ち合わせもなく、展開のスケッチもなく
始められた全くの即興による合奏です。
ヴィオラ奏者のMさんは、またこのような形態の即興合奏は
初めての体験でもあります。そこで、彼女の思いつくままの
ソロからスタートしてもらったのです。ソロパートの出だしは、
右重心のやや後ろ寄りとなっています。ヴィオラは、ヴァイオリンと
同じで左顎で楽器を挟んで常に顔を左に向けて捻った
状態で演奏するため、上半身がいくぶん左に向き、左に捻った
体勢となります。
左に捻った体勢というのは通常は、左足裏の後ろ寄り、踵寄り
に体圧がかかり、右足裏は前寄りで内寄りになります。
けれど、Mさんの出だしの演奏では、右重心が特徴的で、時々左に移り、また、右に戻りつ
して左右方向にゆったり入れ替わっています。このソロでの思いつくままの
メロパートは、非常に歌って
います。
これ見よがしでない、程よく抑制された旋律ですが、情感に溢れて
います。左右重心というのは、この様に情感を表現する時に色濃く出る
ものなのです。この旋律を彼女自身が気に入って情感を込められている事を、
この体圧分布は示しています。しかし、そこに静かに幽かにピアノの他者が絡んできます。
どう合わせれば良いのか、この情感をさらに押し出して良いのか、、などのちょっとした
戸惑いと探りの感じが次に足裏の体圧移動に表われます。
続く