第四回

この冬に聞きたい名曲


ヘンリー・パーセルのコンソートは、二重対位法、三重対位法、逆行形や音価の操作など

高度に対位法的な技術が要所に用いられ、精緻な織物のようなテクスチャを作り出している。


Henry Purcell 6声のインノミネ

Henry Purcell 7声のインノミネ


この二曲は永遠に続く冬景色を思わせる長大さがあり、

厳しさ、そしてその厳しさのなかにある自然の秩序を感じる。

その秩序の中に、激しい情動を内包している。

ロマン派のようにそれは露わではないが、隠されているがゆえに

それ以上の激しさを感じさせるものがある。


ヘンリー・パーセルの天才的な才能は、やはり左右的要素に起因するのだろう、

巧みな対位法的処理以上に、旋律の美しさが引き立っている。

特に7声のインノミネの後半の旋律の美しさは形容のしようがない。


ヘンリー・パーセルはモーツァルトと同様若くして亡くなり(36歳といわれている)、

ブロウの哀歌などが有名である