ヴィオラ演奏分析2


演奏の、全体の3分の一くらいから、ピアノの並走が絡んでくる

頃から、おやっと、躊躇が起こります。この辺りから、右の第1指、足の

親指の付け根、第一しょ骨に一点、どんな体勢となっても体圧の

抜けない点が刻印のように定置します。


演奏全体の3分の一を過ぎた所で印象的な学校の鐘~チャイムが

鳴り響きます。少し邪魔だけど、不穏な気配を予感させるこの楔から、

ピアノ伴奏は、調性を外れ、離れ、戻りつする不安定な曳航をするため、一挙に

ヴィオラは、慎重に伺いながらどう旋律を進めていけばいいか、

ためらいながらの演奏となります。


この時右重心の左右偏移であった体圧分布が、先程来、不動の点と

なった右前内側一点と左足、後ろ踵寄りの左右斜交いの重心を示します。

これは、左右に斜交いという事はつまり体を左に捻ったのと同じ

体勢なのです。人に限らずモノは捻ると、素のままよりも強く、力をかけられても

力を出そうとしても圧倒的に強靭となります。


Mさんのこの、不安定な並走音楽への向かい方は、探り探りしながら

も、この不安な未知の状況になにくそと立ち向かおうとしている

とも言えますし、難局を打開したいと強く望んで力を思い切り出そう

としている体勢とも言えます。それがあまり表情や体の勢いから

計り知れない処が面白い点でもあります。


何か体全体からはおっとりした柔らかな気遣いのようなものが見受けられるからです。

とはいえ必至に自分の旋律を掴んでもう一度鳴らしたいという要求が

演奏全体の4分の三あたりから、やっと局面打開です。

ピアノ伴奏もしっくり絡み出し調性を踏み越え踏み出ししながら

ヴィオラも歌いだします。この辺りから、見事にまた左右偏移の重心移動を取り出して

右後ろ重心が中心となって情感を込め出します。

けれど、、右前の足親指の付け根一点の刻印は最後まで抜けないのです、、。




Mさんは上記の合奏時に、基本動作の測定も行なっています。

基本動作において、演奏時のような左右傾向~特に右偏り傾向は、

ハッキリとは出ていません。どちらかといえば、当時の観察の

通り、後ろ寄りの傾向が何処にも出ていて、時に左捻れ体勢を示します。

演奏時の右第一しょ骨付け根の一点は、基本動作においてもハッキリ

刻印しています。特におじぎ動作において、全ての体圧が後ろ寄りにかかり、やや右に

強くかかる辺りで、この右前内の一点が出てきます。

これは後屈により後ろに重心がかかり過ぎて倒れるのを防ぐよう、左

捻れ体勢を自然位でとったものと推察できます。

けれど、左右においては後ろ寄り、腕の挙上においても後ろ寄り右偏り、という傾向は不動です。

これは、六種傾向が左右四種と結びつきやすく、連動する習性を持っていると判断できます。

また挙上においては下げる時に息を一気に吐いてフッと前重心、

外より開き気味の前重心となり、二種傾向を示します。

六種が四種と結びつきやすいという点は、ピアノとの合奏で

六種的ピアノ演奏に四種的な抑制感情の表出で応える理由が

あるようにも推察できます。捻れ動作はしかし、基本動作に

おいてはほとんど出来てない。腰が捻れないのです。

本人は左捻りの方がやりやすい、との感想を述べていますが、

体動作的には、捻れていない。実は腰から捻れられているのは

しゃがみの時の開動作においてです。


本来はしゃがめない特性だと推察されるのですが、左捻れに

よってしゃがめます。腰バンドでしゃがみ切れない

時、一旦前重心となり後ろに体圧が移って、しゃがみ切れません。

これは腰で捻るのをバンドが邪魔したからです。

つまり開と捻れ動作、10種と7種が結びつきやすく、連動して動くと

言えます。彼女は腰を捻る時開かないとならないが、普段隠れ7種的な

左捻れ体勢を示しているのは、何処で捻っているのかというと

これは、上半身或いは首ということになります。

しかし、これは隠れていて表の風情は4種的な六種だと

いえます。